イルシルは「いつでも解約できる」が、払った分は戻らない(特商法表記と規約の原文で確認)
「解約はいつでもできます」と書いてあるサービスで、 同じページに「支払い済みの料金は返金されません」と書いてある。 これは書き間違いでも矛盾でもありません。言っている対象が違います。
AIスライド生成のイルシルを例に、 特定商取引法に基づく表記と利用規約の原文から、その構造を読みます。 先に結論を書きます。
- 「原則いつでも可能」なのは、解約の申し出です。
- 申し出が受け付けられても、解約の効力が発生するのは利用期間の満了時。 その日まで契約は続きます。
- したがってやめられるのは「次の更新」であって、いま払っている期間ではありません。 払った分は戻らず、日割り計算による返金もありません。
- 自動更新を止める締切は更新日の24時間前。ここを過ぎると次の期間が始まります。
- 年間プランは22,176円(税込)で、月額×12と同額=割引ゼロ。 契約直後に解約しても、規約上は1年分の支払義務が残る読みになります。
筆者はこのツールを契約しておらず、未実機です。 以下に書くのは公式の文書の読み取りだけで、実際の解約画面は見ていません。 解約手順の記事でもありません。契約する前に読む記事として書いています。
1. 特商法表記の原文 —「いつでも可能」の直後に条件が2つ付く
イルシルの特定商取引法に基づく表記は、公式サイトのフッターから
elucile.notion.site 上のページにリンクされています
(リンク先が現在もこのURLであることは2026年9月7日に確認しました)。
ただしこのページはスクリプトで描画されるため、
当サイトがページを取得してテキスト化する方法では本文が読めません。
以下の引用は2026年9月4日にブラウザの画面で読んだものです。
解約の項には、こうあります。
ご解約の申し出は、原則いつでも可能です。ただし、更新日の24時間前までに 解約手続をご完了頂かないと自動更新される場合があります。 また、予定されたご利用期間の途中において解約手続を行った場合でも、 お支払い済みの料金は返金されません(日割計算による返金もいたしかねます)。 ご解約の効力は、利用期間満了時に発生するものとします。
3つの文が別のことを言っています。
| 文 | 何について言っているか |
|---|---|
| 原則いつでも可能 | 申し出のタイミング |
| 更新日の24時間前まで | 次の期間を止める締切 |
| 効力は利用期間満了時 | いま払っている期間は終わらない |
「いつでも解約できる」は、いつでも解約を申し出る操作ができるという意味であって、 申し出た日に契約が終わって残りが返ってくるという意味ではありません。 返品についても、同じページに 「電子商品としての性質上、返品には応じられません」とあり、 特定商取引法に規定されるクーリング・オフが適用されるサービスではないとも 明記されています。
なお、同じページには連絡先としてメールアドレスのみが記載され、 電話番号は「請求があれば営業時間内に遅滞なく開示する」という書き方でした。 特商法上ありうる記載方法なので、当サイトはこれを問題として扱いません。 事実として、一次窓口はメールとフォームだと理解しておけば足ります。
2. 利用規約の側は、締切を自分では書いていない
ここからは2026年9月7日に当サイトが公式の利用規約を 取得して確認した内容です。制定2023年10月20日/改定2026年1月1日・2026年1月22日と 表示されています。
まず自動更新。
第9条2項 契約期間終了日の一定期間前(別途当社ウェブサイトにて定めます。) までにユーザーまたは当社から相手方に対し更新しない旨の当社所定の方法による 意思表示がない限り、当該時点と同一の条件(サービス内容、契約期間、利用料金等を 含みます。)で自動的に契約更新するものとし、以後も同様とします。
次に解約。
第17条1項 ユーザーは、契約終了の一定期間前に当社所定の方法による事前通知を 行い、利用契約を解約することができます。なお、利用契約を解約する旨の意思表示を 行うことができる期間は、当社ウェブサイトにて定めるとおりとします。
第17条2項 利用期間の途中で本サービスを解約した場合でも、ユーザーは、 残期間分の利用料金の支払義務を免れません。
注目したいのは、規約が締切の日数を自分では書いていないことです。 第9条2項は「一定期間前(別途当社ウェブサイトにて定めます)」、 第17条1項も「当社ウェブサイトにて定めるとおり」。 どちらも外に投げています。
そして、その「当社ウェブサイト」の側にある数字が、 **特商法表記の「更新日の24時間前」**です。
つまり規約だけを読んでも、いつまでに解約すればいいのかは分かりません。 規約と特商法表記の2枚を突き合わせて、はじめて締切が確定します。 解説記事のたぐいには「1〜2週間前までに手続きを」という助言が流通していますが、 当サイトが公式で確認できた締切は24時間前だけです。 公式より早く動くのは安全側なので否定はしませんが、 それは公式に書かれた条件ではありません。
第17条2項と特商法表記の「返金されません」は、同じことを別の言い方で書いています。 返金しないという表現と、残期間分の支払義務があるという表現は、 前払いか後払いかの違いでしかありません。
3. 規約に「返金」という語が出てくる場所は、解約とは無関係だった
規約の全文を読むと、「返金」という語が出てくる箇所があります。 ただしユーザー都合の解約とは別の話でした。 第7条5項が定めているのは、おおむね次のような場合です。
- 当社の責に帰すべき事由で本サービスが一切利用できない状態になり、
- その状態が連続して24時間以上続き、
- 是正の確認から1ヶ月以内に所定のフォームで請求した場合に、
- 利用できなかった日数につき、利用料金の減額または支払済み料金の日割り返金を行う
日割り返金という仕組みは、規約上は存在します。 ただしそれはサービスが止まったときの補償であって、 利用者が「もう使わないのでやめる」と言ったときのものではありません。 特商法表記が「日割計算による返金もいたしかねます」と書いているのは後者の話です。 2つは両立します。
(規約には「日割計算は行いません」という文言も別にありますが、 これは第2章=法人プランの特約に置かれた契約開始日についての規定でした。 後述します。)
4. 年間プランで具体化すると、金額はこうなる
条文だけだと重さが分からないので、当サイトが公式で確認済みの金額に当てはめます。
- パーソナルの月額は1,848円(税込) (2026年9月2日・9月6日に続き、9月7日に公式トップページで取得し直しても同じ)
- パーソナルの年間プランは20,160円/年(税抜)=22,176円/年(税込) (公式ドメイン上の2ページで確認)
- 1,848 × 12 = 22,176。年払いによる割引はありません。
- 無料トライアル3日間の対象は、年間プラン(1年)の新規申込のみ (2026年9月2日に確認、9月7日にも同じ記述)
これを第17条2項と並べると、こうなります。
3日間のトライアルを使うには年間プランを申し込む必要があり、 その年間プランは年払いでも1円も安くならず、 それでも途中でやめれば残期間分の支払義務は残る。
契約から1ヶ月で解約を申し出た場合、規約の読みでは 支払義務は残り11ヶ月分に及びます。年額でいえば22,176円(税込)です。 ただしこれは条文からの読みであって、当サイトが実際に請求されたわけではありません。 運用として減額に応じるかどうかは、公式の文書からは分かりません。
日割りも返金もなかったValue AI Writerの件と同じで、 無料や割引の入口を見るときは、 期間が終わった後に何が始まるかまでを一緒に読む必要があります。
5. 法人プランは、別の条文が適用される
見落としやすい点なので分けて書きます。 イルシルの利用規約は**第1章「共通規約」(第1条〜第32条)と 第2章「法人プランに関する特約」(第1条〜第4条)**の二階建てです。 ここまで引いた第9条・第17条は第1章のものです。
第2章の解約条項(第4条)は、書き方が違います。
解約を希望するユーザーは、別途当社が指定するフォーマットに必要事項を記載した上で、 電子メールにて当社へ通知するものとします。解約の申し出期限は、利用者が申し込んだ 各プランに基づき、申込書に記載の定めによるものとします。
法人プランでは、締切がウェブサイトではなく「申込書」に書かれます。 つまり24時間前という数字が法人契約にもそのまま当てはまるとは限りません。 残期間分の支払義務は法人側の特約にも同じく置かれています。
第2章第2条には 「申込フォームの記載等にかかわらず、契約開始日は毎月1日付のみとし、 日割計算は行いません」ともありました。 **これも法人プランの特約です。**個人向けの契約に当てはめないでください。
6. 解約した後、作ったスライドはどうなるのか
料金や締切と同じくらい実務に効くのに、あまり書かれていない条文があります。 第1章第19条(契約終了後の処理)です。
当社は、利用契約が終了した場合、本サービスからユーザーのデータ等の消去を 行う場合があります。この場合、当社はユーザーの申し出によっても当該データ等の 復旧は行わず、また、当該データ等が完全に消去されたことは保証せず、 消去証明書の発行は行いません。
「消去を行う場合があります」であって、いつ消えるとは書かれていません。 規約は第11条(バックアップ)を挙げて、必要なデータは ユーザー自身の責任でバックアップするよう定めています。
イルシルのフリープランは外部データ出力に対応していません。 書き出しは有料プランの機能です。順番として、 解約の手続きより先に、必要なスライドの書き出しを済ませておく必要があります。 有料期間が終わってから取り出そうとすると、書き出す手段のほうが先に無くなります。
この記事で確認できなかったこと
- **未実機です。**契約していないので、実際の解約画面・締切の運用・ 請求が本当にどうなるかは一切確認していません。 書いたのは公式文書の読み取りだけです。
- **特商法表記の本文を、この記事の作成時点(2026年9月7日)に 自分で取得できていません。**当サイトの取得方法ではスクリプト描画のページが読めず、 引用は9月4日に画面で読んだものです。今日確認できたのは、 公式フッターのリンク先が同じURLであることまでです。
- 特商法表記には、制定日・改定日の記載を見つけられませんでした。 規約には日付がありますが、特商法表記の内容がいつ時点のものかは分かりません。
- ヘルプセンター(
docs.channel.io/irusiruhelp/ja)には 「ご契約・アカウントについて」というカテゴリがあり、 解約手順の解説が置かれていることまでは2026年9月7日に確認しました。 **各記事の本文は読めていません。**そこに24時間前と違う締切が書かれている可能性は 否定できません。 - **解約の申し出を、どの画面から行うのか。**特商法表記は「解約手続」としか書いておらず、 管理画面なのかメールなのかは公式からは特定できませんでした(法人プランのみ 電子メールと明記されています)。
- 推奨環境として記載されているブラウザは、Windows・Macとも Google Chrome最新版のみでした(2026年9月4日確認)。 他のブラウザで動かないという意味ではありません。 書けるのは「推奨環境に記載がない」までです。
- 減額や個別対応の運用実態。条文にない扱いがあるかどうかは分かりません。
まとめ
- 「解約は原則いつでも可能」と「返金しない」は矛盾していません。 やめられるのは次の更新であって、いま払っている期間ではないからです。
- 自動更新を止める締切は更新日の24時間前。 規約はこの日数を書いておらず、特商法表記の側にあります。 2枚を突き合わせないと締切が確定しません。
- 途中解約でも残期間分の支払義務(第17条2項)。日割り返金もありません。
- 規約にある「日割り返金」は当社起因で24時間以上使えなかった場合の補償で、 ユーザー都合の解約とは別物です。
- 年間プランは割引ゼロなのに、拘束だけが1年分付きます。
- 法人プランは第2章の特約が別に適用されます。締切は申込書側です。
- 解約前に、必要なスライドの書き出しを先に済ませること。
この記事は2026年9月4日と9月7日に公式の文書を読んだ記録であって、 明日も同じだと保証するものではありません。 規約第26条には本規約の変更方法が定められており、 第7条3項は価格を変更することがあると明記しています。